取り寄せ不可
彼との日々は夢のように、
海の色に溶けていった。
「ぼくはアレクサンダー・ディミトリウ。
きみがバルコニーから見ているのには気づいていたよ」
キャサリンは慌てて否定しながら、頬が火照るのを感じていた。
彼は幼い娘が邪魔をしたお詫びにと、キャサリンを食事に誘った。
亡き母の故郷にほど近いギリシアの村で独り静養しているけれど、
わたしがここにいるのは既婚者とデートするためではないわ!
しかし、彼が妻を亡くしていると知り、互いに医師であることから
ともに感染症の対応にあたるうち、二人の距離は急速に近づいた。
つかのまの恋でいい。私は幸せになれない人間だから……。
そう自分に言い聞かせ、亡き妻を愛する彼にキャサリンは全てを捧げた。
人目を忍んで、めくるめく情熱に身をまかせる二人。やがてアレクサンダーの娘や祖母も含めた家族ぐるみの付き合いが始まり、愛のぬくもりを知るキャサリンでしたが、アレクサンダーの亡き妻の幻影に悩み続けます。そしてついに、せつない片恋は砕け散って……。
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