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前作『ひめゆりたちの春秋』は1945年3月22日の最後の留送別会までの寄宿舎の生活を追ったものであった。
本書は戦場での解散命令を受けた学徒たちが捕虜になり収容所へ。そして学校を修了して教師になっていくまでのおよそ8ヶ月の歩み。
彼女たちの新しい生活は「信頼」「相手を思いやる心」を胸にして始まった。
本書「あとがき」より
一九四五年六月一八日、学徒たちは解散命令を受けて壕を脱出。そして避難先で、米軍の捕虜となり、収容所に送り込まれていく。
一九四六年一月一〇日、沖縄文教学校開学。文教学校開学の知らせを受けて、学徒たちは、各地の収容所から駆けつけて来た。そして、二か月の修学期間を終え、一期生たちは、教師になっていく。
捕虜になって収容所へ送り込まれてから文教学校を終了して教師になっていくまでおおよそ八か月。一年にも満たない期間である。それは、確かに短いが、その間に起こった出来事は、それこそ、その一つ一つが驚きに満ちた未知との遭遇とでもいえるものであった。
はじめて目の前にしたアメリカ兵にしろ、収容所での生活にしろそうだが、なによりも文教学校での授業がそうだった。女師・一高女時代に教えられたことと、それは全く異なっていたからである。彼女たちは、戸惑うと同時に、その新鮮さに心を奪われていく。
わずかな期間であったが、彼女たちは、そこで学んだ生き方を胸にして、新しい時代に向かって歩き出したのである。
(中略)
平和という言葉は、戦時中はいうにおよばず、現今も独善的に使われ随分手あかがついてしまったが、戦場を体験したひめゆりたちが願いをこめて使ったように、洗い直し、まっさらにして、ついでいくためにも。
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