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本書は理工系学部でオペレーションズリサーチ(OR)を中心とした経営科学分野を専門に確率統計を学ぶ学部学生を対象としています.公式や定理などは,特に重要と思われるものは証明や導出過程を詳しく説明し,あまり数学的過ぎるものは理論の一部や概観に触れる形としました.幾つかの公式や定理に関して応用する場面や目的などにも言及しています.また,経営や生産の関係のある例を取り上げ,確率や統計と応用との関係を理解できるよう経営や生産と関係のある例も取り上げました.
1章「確率とはなにか」では,本格的に確率を学ぶための準備を行います.確率と統計の役割の違いや,確率が何の役に立つのかについても言及します.
2章「確率の基礎概念」では,確率の定義を示し,今後確率を理解する上で必要な基本的な性質を説明します.
3章「確率変数と確率分布」では,1次元確率変数の定義を与え,離散型確率分布と連続型確率分布の意味と違いを説明します.さらに期待値と分散,積率母関数に加え,条件付き確率や確率変数の関数の分布など,1次元分布を用いて得られる様々な特性量の導出方や考え方についても言及します.
4章「いろいろな確率分布」では,正規分布など応用の場面で用いられる代表的な確率分布とその性質を説明します.
5章「2次元確率分布」では,1次元と2次元の確率変数の関係を示し,2次元確率分布特有の難しさや考え方,及び重要な性質について説明します.
6章「極限定理」では,確率モデルや統計モデルの理論を考察する際に必要となる中心極限定理と大数の法則を紹介します.理論の詳細には踏み込まず,定理の持つ意味を重視して説明します.
7章「統計とはなにか」では,統計の役割について説明し,今後統計を学ぶ上での準備を行います.
8章「標本分布」では,標本と母集団の考え方と違い,及び統計量の意味とその性質について説明します.
9章「推定」では,確率分布の母数(パラメータ)をただ一点だけ推定する「点推定」と点ではなく母数が存在する範囲(区間)を推定する「区間推定」について述べます.特に点推定に関しては最尤法,区間推定は信頼区間を得るための考え方を説明します.
10章「検定」では,検定の基本的な考え方と母集団が正規分布に従う場合の検定統計量の導出法を説明します.
11章「単回帰分析」では,二つの変数間の関係を調べる際に有用な単回帰分析について,パラメータの点推定と検定,及び推定量の性質を中心に説明します.
【著者からのメッセージ】
公式や定理を単に“暗記”あるいは“知る”だけでなく,その背後にある数理を理解し,さらに応用のための“道具”として確率モデルや統計モデルを作るための準備として確率と統計を学習する方にはお薦めです.
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