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未だ見知らぬ国々を、人の心を旅するための道具としての文学。
強きものに抗い、弱きものに寄り添うための武器としての書物。
世界の古典/現代文学に通暁し、人間の営為を凝縮した書物を
こよなく愛するノーベル文学賞作家が、その魅力を余さず語る、
愛書家必読の一冊。
【本書の内容をより深く理解するための別冊「人名小事典」附】
書物は私たちが持っているもののなかで、なによりも素晴らしく、そしてなによりも自由なものです。「書海」、と中国語では言いますが、読者はその大海を自らの喜びのために、そして自らの教養のために航海することができます。(…)書物のおかげで、世界を認識することはひとつの冒険となるのです。
私たちが今日生きている世界は複雑で危険に満ちていますが、同時に驚きにあふれてもいます。(…)知の冒険に身を投じ、他者を知るために、書物は最良の道具です。それは誰でも容易に手に取ることができ、電気も必要とせず、移動も収納も簡単です。ポケットに入れて持ち運ぶこともできます。書物は忠実な友人です。欺くことはありませんし、宇宙の調和などというユートピアの夢に浸らせることもありません。書物によって私たちは、他者をその美点も欠点も含めて知ることができ、異なるさまざまな文化との交流が可能になるのです。(本書より)
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