本書はイギリス文学における伝統的なジャンルのひとつと考えられるコメディ・オヴ・マナーズについて、その本質的な特徴とその変容・変奏・発展をめぐって劇と小説の両面から考察したものである。コメディ・オヴ・マナーズの研究については、イギリス文学のきわめて興味深いテーマでありながら、日本においても、また、英米においても、このテーマを「系譜」という視点から総体的に論じためぼしい研究は見られない。その意味からも、本書がコメディ・オヴ・マナーズの研究に貢献することは確かであろう。
【目 次】
[Ⅰ まえがき]
コメディ・オヴ・マナーズの系譜
─まえがき風のスケッチ─ ・・・玉井 暲
[Ⅱ 王政復古期]
ウィリアム・ウィッチャリーの 『田舎女房』 における
作法(マナーズ)に対する戦略のアンビヴァレンス・・・末廣 幹
誰が殺した、 風習喜劇を? ・・・佐々木 和貴
[Ⅲ 18世紀]
読んでよい小説、観てよい芝居
─『パミラ』 とマナーズの攻防・・・久野 陽一
18世紀喜劇における 〈作法(マナーズ)〉 と 〈感傷主義(センティメンタリズム)〉・・・岩田 美喜
[Ⅳ 19世紀]
変容する 「紳士」 像
─『高慢と偏見』に描かれる 〈マナーズ〉・・・向井 秀忠
規範と欲望の交渉
─喜劇的空間としての 『クランフォード』・・・市川 千恵子
『まじめが肝心』におけるマナーズと欲望の協力/共犯・・・玉井 暲
[Ⅴ 20世紀・現代イギリス文学]
戦時下の作法、 あるいは無法
─イーヴリン・ウォー 『もっと多くの旗を出せ』・・・小山 太一
可動式プライベート時代のコメディ・オヴ・マナーズ
─ノーエル・カワードからハロルド・ピンターヘ─・・・山田 雄三
『ブリジット・ジョーンズの日記』と風俗小説(ノヴェル・オヴ・マナーズ)・・・高桑 晴子
あとがき/執筆者紹介/索引
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