「殉義の星」とは、正義のために死した人間が生まれ変わる天空の星のこと。柴田啓蔵(1901~88年)の造語であり、彼が作詞した「解放歌」(1923年)の最後を飾る詞である。作詞に影響を与えた「全国水平社宣言」(1922年)は、ユネスコ世界記憶遺産(アジア太平洋地域)に登録されている。
柴田は明治34年、九州・筑豊の被差別部落に生まれ、稀有の才能を幼少期から発揮した。島崎藤村『破戒』時代の差別の中、九州を逃れて旧制松山高等学校に進学。文学をめざしていたが、大正11年、全国水平社創立大会の開催(京都)を知った後、人間の自由・平等・博愛をめざして水平社運動に飛び込む──。
その後、数々の挫折、数奇な運命を経て、70歳を過ぎて以降の記憶・記録・資料をもとに、本書は纏められた。次の地球百年への希望を求め、人間解放をめざす人々に向けた書である。
≪全国水平社・全九州水平社創立百周年記念出版≫
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