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心の真ん中が不動になり,心と頭が一つに統一されて,ひたすら「いる」ことが坐禅である。著者は「今,全く静かになって中から新たになる」と言う。
坐り,無心になり,背骨を伸ばし,心を真っすぐにし,意識と呼吸を一つにして自分自身を見つめる。そして自分を超えて大いなるものに出会い,その経験を通して信仰の神秘と救いがもたらされる。
禅は悟りだけでなく,自分自身と出会うための普遍的な作法でもある。数十年にわたり坐り続けてきたリーゼンフーバー師が,無心の自己を通して出会い,触れた,神やキリスト,そして聖霊との対話の数々が語られる。さらに聖書の言葉や教父の思索が全編に散りばめられ,信仰と希望と愛に支えられた世界に読者を誘ってくれるだろう。
ドイツから日本にミッションとして派遣された著者が,半世紀以上にわたり日本の人々と接して司牧活動に励み,学問的研鑽を積みながら,神との対話を通して実践的で誠実に生きた魂の記録である。本書を通して読者は時に立ち止まり,時に気づき,新たな自分を発見するに違いない。
現代のグローバル化と情報化という巨大なうねりの中で,翻弄され自己を見失いがちな私たちにとって,師の提唱は自分自身を見つける善い機会を与えてくれる。
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