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──きらきらと目にたちのぼる琥珀の香 虚空に問はむひとのことばは──
「北の海が荒れると地層が抉られて、一部が海岸に流れ着き、
その中から琥珀がみつかる。琥珀は比重が軽いので、潮の流れに乗ってバルト海を流され、
時にイギリスの海岸沿いで見つかることもあるという。そんな小さな、奇跡の石に対する憧れと
畏敬の念を籠めて、歌集題を『海の琥珀』とした。」(あとがきより)
《歌集より》
麦の伝播たどる頁にやはらかくみづほの国の秋の日は射す
Greenを緑さと訳し そののちの言葉かすかに紗を纏ひ初む
豆餅を食めるひととき口腔にほのほのと小さき観世音立つ
帽子掛けに帽子ひとつを掛けたればながく寂しき夕暮は来ぬ
凍てつく夜プロシアの沖に流れ着き琥珀はうすく潮の息吐く
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