2020年頭から2021年春までのあいだ、AFP通信は未曽有の事態に遭遇した世界の風景と人類の姿を撮影してきた。
中国に、インドに、スペインに、セルビアに、ポーランドに突如野戦病院が出現した。
日本でもエルサルバドルでも、マスクのある生活は当たり前となり、ソーシャルディスタンス、テレワークは日常となった。オリンピックも延期された。
緊急事態宣言やロックダウンが実施され、赤の広場からも、シャンゼリゼ通りからも、サン・マルコ広場からも。タイムズスクエアからも、人の姿はなくなった。
韓国でも、コロンビアでも、街や教会など人が集まるところはすべて徹底して消毒された。
病床は足りなくなった。ニューヨークでは遺体置き場が、メキシコシティでは墓場すら、足りなくなっていった。
家がないベルギーのホームレスやセネガルの遊牧民は、途方に暮れるしかなかった。
常に緊張を強いられる医療従事者の顔からは、なかなかマスクの痕が消えない。
しかし、人類は挫けない。
ブラジルの奥地でも検温が行われ、人里離れたトルコの村でもワクチン接種が実施された。
ステイホームが推奨されるなかでも、キプロスやドイツやパレスチナの人々は健康を楽しく保つ術(すべ)を見つけていった。
キューバでもタイでも、最前線で働いてくれているエッセンシャルワーカーに感謝を送る習慣が根づいていった。
マスクを着飾り、閉められたシャッターを彩る陽気な光景も見られるようになっていった。
本書は、「疫病の真っ只中で学んだのは、人類には軽蔑することより賞賛することのほうが多いということだ」
というカミュ『ペスト』の一文からはじまる。人々の連帯感や創造性、息遣いまでもが活写された、何度でも振り返りたい一冊。本書は、未来への道しるべとなるであろう、「希望に満ちた」地球の記憶である。
◇ ◇ ◇
・61の国と地域、165の都市や町、481点の写真。
・世界はいかに闘ってきたか、闘っているか。
・未来への道しるべとなる地球の記録。
・各国からの声―世界の著名人が寄せたエッセイ、5本掲載。
・日本語版の出版に際し、写真を増補。
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