これまで心理系の資格といえば,公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士が代表的な資格として,準国家資格のような役割を果たしてきたといっても過言ではなく,そしてそれは約30年の歴史がある。そのような中,2015年に厚生労働省・文部科学省(共管)で公認心理師国家資格が誕生した。また,特別支援学校教諭になるには,これまでは小中高普通免許状があれば可能であったが,特別支援学校教員免許状を取得していないと教員採用試験を受験できなくなった。いずれの資格免許においても養成科目の中に障害者・障害児心理の科目が位置づけられている。
本書は,心理職,福祉職,教職を目指す学生の皆さんの基本的な学びのためや,既に専門職に就かれている先生方の日ごろの実践に役立つための,そして実践を振り返るための専門書として出版したものである。
私たちが生きている社会には,どのような障害をもった方々がいるのであろうか。障害の種類をあげてみると,身体的なものから精神的なものまである。
身体面での障害は視覚障害,聴覚障害,言語障害,肢体不自由,知的障害,重度・重複障害,そして中途障害などがあげられる。精神面では精神障害,情緒障害などがある。人間の五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・皮膚感覚)に関する障害としては視覚,聴覚の障害である。
本書では,まず「第Ⅰ部 身体障害・知的障害・精神障害・発達障害をもつ人の心理と支援」として,各障害について定義や仕組み,障害をもつ人の心理的・行動的特性,支援のあり方を考える。
次に「第Ⅱ部 障害をもつ人の育ち・成長にいかにかかわるか」として,「なぜあなたは障害児・者にかかわろうと思ったのか?」と問いかけ,障害をもつ人にかかわる動機・目的の明確化を図る。次の章で,障害をもつ人の育ち・成長・悩みの解決に有効と考えられる心理的支援についていくつかの例(療法)を挙げて考察し,続く章で「家族支援」と「社会参加(就労支援/ICTの利活用)」を学ぶ。
「第Ⅲ部 障害をもつ人の教育と福祉」では,特別支援教育の歴史・課題・展望および障害者福祉の国際的な動き・歴史・今後の課題について考察する。
巻末に付録として,聴覚障害,発達障害,肢体不自由児,重度・重複障害児の事例研究を掲載しているので,実際の障害をもつ人とのかかわり方を体験することができよう。
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