総合的な学習の時間は,国際化や情報化をはじめとする社会の急速な変化を踏まえ,児童生徒の自ら学び自ら考える力などの全人的な生きる力の育成を目指し,教科などの枠を超えた横断的・総合的な学習を行うために生まれ,小・中学校は2002(平成14)年度より全面実施,翌年度には高等学校においても年次進行で実施されてきた。その後,高等学校における名称は,2018(平成30)年度,「総合的な探究の時間」に変更された。そこで,本書籍名は,小・中・高等学校の内容を包括的に表す「総合的な学習・探究の時間」の名称で表している。
本書籍の特色は,今次学習指導要領の改訂内容に準拠し,主要内容を分かりやすく解説していること,また,この時間の特質である横断的・総合的な学習を重視し,小学校から高等学校までの内容で編集していること,さらに,この時間の基礎知識とそれらを具体的にイメージできる実践事例を豊富に提示し,理論と実践の融合に努めていることにある。なお,実践事例は小学校では三つの課題に基づき三事例を,中・高等学校では四つの課題に基づき八事例を掲載しており,いずれの事例においても,発達段階に応じて,児童生徒の「よりよい生活に向けての思いや願いを実現したい」ことを引き出そうとする指導の手立て・工夫を掲載し,読み手の参考になるように留意している。
来春には,全国の小学校において,今次学習指導要領の改訂に基づき,総合的な学習の時間も全面実施となり,いずれの学校においても「主体的・対話的な深い学び」の充実に向けてより一層力を入れた取組が始まる。ここでの「深い学び」は,従前から総合的な学習の時間で指導してきた「学び」そのものである。この点を理解し執筆している本書が読者の研究や指導実践等に活用され,22世紀に向かう児童生徒の自己実現につながることができれば誠に幸甚である。
編著代表 中園 大三郎
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