囁きの小人1994ー2021

囁きの小人1994ー2021

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出版社
思潮社
著者名
山田裕彦
価格
2,750円(本体2,500円+税)
発行年月
2022年4月
判型
A5
ISBN
9784783737841

蠢く蟻の文字


立ち去ろうとするのだが一歩が踏み出せないでいた。身動きできないその理由を思いつけなかった。あらゆる出来事には理由がなかった。
(「静かな日」)

「山田裕彦は含羞の人だ。絶滅の波打ち際にむかって、おおごえあげて走り寄るわけでも、黙って背を向けるわけでもない。むしろ、希望や絶望が〓み砕かれた、不毛の湿原で理由も根拠もなく、ひそかに生きている虫の声、あるいは死後にこそ蘇る、忘れられた小さな声たちの囁きに耳を澄まそうとする。そこに含羞の人が、今日の詩のもつ意味にすら逆らう、吃音という発声の方法があった」(北川透)。打ち捨てられ、毀れつつある詩語の廃墟のなかを蟻の文字が蠢いている。貧しさの感覚に耐えながら、宙づりの書記において時代と対峙する19篇。四半世紀ぶりの新詩集。

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