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本書は、「人新世」「資本新世」とよばれる新しい環境下で生じてきた自然、 政治、社会、情報、精神面での変化に対する現代美術の応答と変容、そして、これらを伝えるキュラトリアル実践に関して、キュレーター、哲学者、人類学者らによる領域横断的なアンソロジーである。
現代美術と密接に関わる「キュラトリアル実践」は一般に考えられるような「展示」を企画することにとどまらない。それは、展示のみならず、調査、作品、コンテンツ制作、パフォーマンス、ディスカッション、ワークショップ、学習普及プロジェクト、プラットフォームづくり、出版などを多岐にわたる。これらは、身体感覚を巻き込む視聴触覚媒体を通して、共感と知的生産を促し、多様な行為を含むパブリックコモンズを出現させる。
また、地球の存在そのものが危ぶまれる「人新世」をダナ・ハラウェイにならって、SF作家キム・スタンリー・ロビンソンの言葉である「まごつき期 dithering time」として考える本論集では、近年、新たに関心の高まるエコロジー思想と実践に、現代美術(アート)の実践との絡まり合いを読み込む。
今日の「まごつき期」としての「人新世」時代においてエコロジーと現代美術(アート)はいかに応答するのか。国内外の知性とともに、その実践と理論の創造的かつアクチュアルな議論から、「新しいエコロジーとアート」を考える。
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