1985年の初版刊行以来、本書は量子力学の核心を現代的視点から生き生きと記述する書として広く世界に受け入れられてきた。本書では量子力学が、歴史的発展の後を追わず直接自然界の基本的要請から論理的に構成されていく。上巻では、量子力学の基礎概念、ダイナミックス、角運動量の理論が詳細に述べられるが、その中にはゲージ変換、経路積分、アインシュタインの局所原理など重要な項目も含まれている。そして近年の技術によって可能になった、中性子干渉、ニュートリノ振動、ベルの不等式の検証実験なども具体的に紹介される。この第3版では共著者となったナポリターノの手で密度汎関数の節が追加され、また相対論的量子力学への更に踏み込んだ展開もされた(下巻)。実験家で教育経験のあるナポリターノは、取り上げる項目を講義を念頭にして多くし章末問題もかなり追加して本書の教科書的色彩を強くした。一方訳書では共訳者が加わり、丁寧な訳注で本書を読みやすく正確なものにしている。
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