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自伝的長篇『未知よりの薔薇』を出版したあと、著者の心は、次なる時間サイクルへではなく、その振り出し―二十歳代へと帰っていった。
古い三冊の「詩作ノート」の埃を払うと、そこに強烈な孤独と意志につらぬかれた若き日の詩人の自我像が浮かびでてきた。詩を書くことで彼は幻視することを学んでいたのだ。
「いまや若き詩人の影はひそやかに私の心に浸透し、未知なる光の中で揺らめいている」と述懐するスペイン詩・文学・ミスティシズム専攻の、安倍三﨑の陰影濃きエッセイ「失われし詩人を求めて」を巻末に附し、六十年の歳月をこえて立ち昇る千曲川の瀬音との共振を聞く。
執行草舟 推薦!
若き詩人の、この憧れを見よ!
著者のもつポエジーは、現代の日本を撃つだろう。
魂の清純が、震えている。
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