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「その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました」。一〇〇年前、一人のアイヌの少女がこの一文から始まる一冊の本を残した。一度は忘れ去られた知里幸恵はなぜ復活し、アイヌの魂の象徴的存在となったのか。『神謡集』ノートや日記など未公開や新資料をもとに、「生の限りを書かねばならぬ」との誓いに殉じたその生涯を描く。
※「ピリカ チカッポ」に関して
Pirka chikap-po の「ポ」は小さいものを表す。鳥は「チカプ」なので、正確な意味は「美しい小鳥」であるが、『アイヌ神謡集』の第一話「梟の神の自ら歌った謡」のなかで、幸恵自身が「美しい鳥」と和訳しているので、これを採用した。
※アイヌ語の表記について
ユカラ、ウエペケレなど、現在は片仮名の小書きが使用されているが、引用文はその出典のままとした。
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