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本書は「人と環境にやさしく、持続可能な社会の発展を支える化学」である「グリーン・サステイナブル ケミストリー」(GSC)の実現のために、分離工学に焦点を当てて解説した書籍である。
2020年末、政府によって2050年までのカーボンニュートラル達成を目標とすることが宣言されて以来、化学産業を取り巻く環境は一変した。サプライチェーン、バリューチェーン全体でのエネルギー削減と再生可能エネルギーの徹底的な利活用、金属資源とプラスチック等の資源の水平循環を目指すサーキュラーエコノミーなど、新しく、かつこれまでの方法論だけでは解決できない大きな課題が山積しており、それに対して政府からいくつもの基本計画や戦略が発表されている。
研究開発事業が国家プロジェクト化される際には、これまでも特定の課題についての基本方針が示され、予算化され、目的に沿う計画をもったプロジェクトが提案・採択されてきた。今後も、大きな政府方針に沿うプロジェクトも同様に進められることになる。
一方で、プロセス革新の原動力となる新しい技術の研究開発は、プロジェクト提案が決まってから特定の用途のために合目的的になされるものではなく、当然のことながら、幅広く分厚い基盤技術開発がなされたうえで、それらのうちからの適切な選択によって社会実装の取り組みが効果的になされることになるはずである。
2050年カーボンニュートラル社会の実現には、2050年のあるべき(ありたい)姿からのバックキャストによる必要な技術のリストアップと、これまで行われてきたようなフォアキャストの延長線上にはない非連続な技術開発と社会実装を相当のスピードで実施する必要がある。
このような情勢判断のもと、公益社団法人新化学技術推進協会グリーン・サステイナブル ケミストリーネットワーク会議(GSCN会議)は、我が国が取り組むべきGSC関連の研究開発テーマを取り上げて、基礎研究から技術の社会実装までを対象とした産学官連携による「イノベーションのゆりかご」となる新たな議論の場として、「GSCイノベーションプラットフォーム」(GSC-IPF)を設立し、化学産業において最も重要なプロセスの一つである「分離」を取り上げた。そこに産学官から第一線の有志(研究者・技術者)を募り、専門的立場からの有望な研究テーマの頭出しと、それらテーマの2050年の社会に対する貢献の可能性についての真摯な議論を行い、2050年の化学産業のありたい姿を創り出すための技術開発基盤の姿を描いてきた。この活動の成果によって、新規な技術開発プロジェクトの立案に必要な技術情報を的確に拾い上げることが可能となると期待するものである。
本書をカーボンニュートラル達成に向かっての研究開発プランを立てる際、また新規プロセスを構築する際の分離技術に関する辞書として活用していただけると幸いである。
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