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このたび東西学術研究所資料集刊27-10として『家礼文献集成 日本篇』10を刊行する。本冊はこれまで当シリーズとして刊行した『家礼文献集成 日本篇』1~9(2010~2021年)に続く10冊目の資料集である。
朱熹(1130-1200)の著わした『家礼』は冠婚喪祭儀礼の新しい実践マニュアルであり、それまでの中国の古礼をふまえつつ、朱熹の生きた宋代に適合するよう改変を加えたものであった。朱子学の影響を大きく受けた東アジアの国々は『家礼』の影響も当然ながら受けたのであって、人々はこの書を熱心に読み、注釈を作るばかりではなく、朱熹と同じように、みずからの生きる時代と状況に適合するように『家礼』を改変していく。このような改変を「損益」というが、これは基本方針を踏み外さず、実践内容に取捨選択を加えていくことを意味する。『家礼』の記述を正しく理解するとともに、その所説をどのように活かしていくか――このような関心が、中国のみならず、朝鮮、ベトナム、琉球、日本など東アジア諸国に多くの『家礼』関連著作を生み出すことになったのである。
こうした『家礼』のもたらした影響については近年、ようやく注意が向けられるようになった。今から12年前に始まった本シリーズの刊行は、そのような機運を醸成するのにあずかって力があったように思う。また、そのような動向に沿うかたちで、昨年には中国から次の拙著が刊行されている。
『《朱子家禮》宋本彙校』〔宋〕朱熹 撰 吾妻重二 彙校(上海古籍出版社、2021年9月第2刷発行、全241頁)
『〓敬与〓章:〓〓〓域中的《朱子家礼》』 吾妻重二著 呉震ほか訳(上海古籍出版社、2021年5月、全521頁)
このうち最初の書物については、2020年9月に出された初版を1年後に再版したものであって、再版にあたっては若干の誤字等につき修正を施した。二つ目の書物は、2012年、拙著『朱熹《家禮》實證研究』として上海・華東師範大学出版社から刊行された内容を前半とし、後半にその後発表した論文を加えてまとめたものであって、「上海書評」に「吾妻重二談《朱子家礼》及東亜家礼文化」(http://m.thepaper.cn/rss_newsDetail_13902065)としてインタビューが掲載された。また姚永輝氏による書評「儒教礼儀如何影〓了日本」が『中華読書報』(2011年11月17日)に載っているので、関心のある向きはご覧いただければ幸いである。
さて、日本において『家礼』の解釈と実践にとりわけ真摯に取り組んだのは山崎闇斎に始まる崎門派の人々である。本シリーズ第9冊には闇斎とその門人浅見絅斎の関連著作を収めたが、本冊には闇斎門人の三宅尚斎とその門人たちの著述を収めた。すなわち『朱子家礼筆記』、『家礼雑記』、『祭祀略礼』、『祭祠略記』、「用神主説」、「神主題名考」などであって、重要でありながらこれまでほとんど論じられ
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