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ゲノム編集は生物の遺伝子の一部を入れ替える革新的な技術である。とくに〈クリスパー・キャスナイン〉という新たな手法により,特別の知識や技術を必要とせず,しかも安価に植物,動物,ヒトの遺伝子の培養細胞・ES細胞・ips細胞・受精卵などあらゆる細胞を利用でき,急速に広がっている。それとともに他の遺伝子まで切断する「オフターゲット」や修復された細胞とされない細胞が混在する「モザイク」など副作用も問題となる。
ゲノムの編集技術は,世代を超えて「良いゲノム」に変える優生学的対応,また目の色や体質だけでなく運動能力や体格,知能指数を操作するエンハンスメントへと拡大する可能性をもっている。
従来,遺伝子操作は精子,卵子,受精卵といったヒトの生殖細胞系列は対象としないという国際的了解があった。しかし2018年に中国の研究者らが生殖細胞系列のゲノム編集により人間の子を誕生させたと発表したのを機に,ノーベル賞学者や科学者,医学者など各界からの批判と議論が世界的に展開した。
わが国の人文系三学会も初めて共同声明を出し「遺伝子改変が世代を超えて不可逆的に子孫に伝わり……。このことの是非は医学者・科学者や特定疾患の患者や関係者だけに関わるのではなく,人類全体の未来に関わるきわめて重い倫理的問題」として国民的議論を要請した。
本書は2020年に日本学術会議が出した「提言」を踏まえて哲学・倫理の人文科学系の研究者が,ヒト受精胚の扱いを中心に本格的に検討した貴重な成果である。
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