取り寄せ不可
わたしは記憶を失った――
関係を曖昧にする彼に、妊娠を告げぬまま。
クリュザンダーの子が、わたしのおなかの中にいる。
その事実を知ったマーリーは、彼に打ち明けるべきか悩んだ。
同棲しているものの、セクシーなギリシア大富豪の彼は、
いまだにふたりの関係をはっきりさせようとしないのだ。
マーリーはさっそく、仕事から戻ったクリュザンダーに問いかけた。
「僕は“関係”なんて結ばない。わかってるだろう、きみは愛人だ」
返ってきた辛辣すぎるその言葉にマーリーが失望する暇もなく、
クリュザンダーは30分以内にこの家を出ていけと彼女に命じた。
訳もわからず放り出された彼女は、ほどなく何者かに誘拐されてしまう。
3カ月後、ようやく解放されたマーリーは、記憶を失っていた……。
病院からマーリーを引き取るため、クリュザンダーは彼女の婚約者と名乗ります。けれども、彼との“関係”を望んでいたはずのマーリーは皮肉にも、彼の顔を忘れているのでした。この人が私の恋人。赤ちゃんの父親。でも心が乱れるのはなぜ? そう不安になり……。
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