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COVID-19が世界を席巻し、多くの犠牲者を出し続けており、一刻も早い、その終息が求められている。治療法やワクチンが急速に開発されたと同時に、私たちの社会は、このように脆いものであることを思い知らされた。中でも、先進国と開発途上国との間での状況の違いは深刻であろう。危機に対する社会の脆弱性は、世界社会の格差と結びついており、先進国にとっても、開発途上国にとっても、いかに重要であるかを物語っている。継続性のある、平和な世界社会を作ることは、つぎに来る危機への備えとして、これからの人類の存続にとって必要不可欠なことだ。
一方、大学におけるSDGs の位置づけはどうであろう。若い世代の人たちが、いまの世界の現状とその課題を知り、自分たちの手でどのような社会を作っていくのかを考える場が大学でもある。その学びの過程でSDGs の意義と意味を考えながら、それぞれの専門の勉強を行う。関西大学はいままで、多くの地方自治体や企業との連携活動を推進してきた。
本書はSDGs の課題解決に対する関西大学ならではの取り組みを紹介する。
SDGsのひとつひとつの目標達成が展開するにつれて、いまの世界社会のもうひとつの重要な課題が見えてくるように思う。それは、われわれ人類の精神の進化、進歩についての課題である。
21世紀に入り、地球という有限の環境の中での人類の継続性、ここに暮らす、すべての生物の将来を考える必要があることにわれわれは気づいた。
SDGsの17のゴールはそれを達成することもさることながら、そのような目標を設定することができた人類の精神性の進歩という意味での重要性を示し、これを越えることができるのかという問題を提起しているように思う。
例えば、パンデミックの中で限られたワクチンで誰を救うのかという問題に直面したとき、政治や経済、文化、民族、宗教の壁を越えて、適切な配分を行うことができるのか。
科学技術に代表される物質的な意味でのDとともに、精神的な進歩、すべての人類が心穏やかに過ごせる、心の有り様を目指すDが求められているように思えてならない。
VUCA( Volatility ・ Uncertainty ・ Complexity ・ Ambiguity、未来の予測が困難な状況の意)の時代に、これからの人生における2つのDが必要である。
いま、ポストSDGsも視野に入れた、世界社会全体の持続的発展と、ひとりひとりの精神性の進化が問われている。
本書がSDGs に対する読者の理解の一助になることを願う。
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