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格差社会のなかで実現される公正な学校教育とは何か。「効果のある学校」が持つ文化の成立と継承の実態を描き出す。
新自由主義に基づく政治経済の進展、日本社会の格差拡大と子どもの貧困の悪化、学力格差の顕在化といった社会問題が山積する現代日本において、社会経済的格差が拡大する中で家庭や職場、村落共同体といった伝統的なコミュニティが不安定化し、公共圏も衰退しつつある。こうした過酷な状況において、学力格差を克服することができる公正な学校教育はいかにして実現可能なのか。
本書では、継続性がある「効果のある学校」の析出と特徴の検証、学校内部の組織体制と外部諸機関との連携構造分析、「効果のある学校」の教員集団の職業的社会化プロセスの解明から、「効果のある学校」が持つ文化の実態を明らかにする。
遊びや班活動をきっかけにした対話の場の創出や、仲間関係を構築する集団作り、体系的な学力保障カリキュラムによる手厚い学習支援など、「誰も見捨てない」独自の教育理念が継承されている小学校における10年にわたる参与観察を経て、地域との連携や教員間のアイデンティティ継承、教員たちのジレンマとその克服の過程を詳細に描き出す。
そして、すべての公立学校教育が、地域社会に固有の歴史的背景を教育実践に織り込み、本来の強みである地域性・平等性・多様性を存分に発揮できるだけの学校教育システムを実体化し、今を生きるすべての子どもたちの教育保障を実現するための教育コミュニティ創建の必要性・重要性を明らかにする。
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