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日本の社会の現状をどのように考えていますか。若者の自死の増加、少子化、子どもの貧困、児童虐待の増加、経済的格差とそれに大きく影響を受ける未婚化や子どもの進学率など、様々な問題が山積しています。一言で表現すれば「人間の尊厳」を大切にしていない社会といえるでしょう。社会福祉は、施策や制度、福祉サービスの総体と捉えられることが多いですが、それらを用いて「人間の尊厳」を尊重する、また人権や自己実現を保障する実践です。
このテキストのコンセプトはソーシャルワークの理念である人間尊重や社会正義です。社会福祉の実践には必ず理念や価値が包含されていなければなりません。第2章の社会福祉の理念でソーシャルワークの価値を体系的に論じ、続く第3章以降においても社会福祉の領域や対象に応じて重要とされる価値や理念についてふれています。
また、「社会福祉とわたしたち」というタイトルには、社会福祉と自分自身の生活を結びつけて考えながら、学びを深める期待が込められています。わたしたちも社会福祉の恩恵を受けながら暮らしていることを実感してください。社会福祉はわたしたちの尊厳や人権を守るために存在しているのです。
本書は、保育士養成課程の科目「社会福祉」を学ぶための教科書で、2016年に出版された『社会福祉と私たちの生活』(小林育子・一瀬早百合共著)を基盤にしながら大幅に改訂したものです。基本的には、厚生労働省の示したシラバスに則って構成されています。しかしそれに留まらず、社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士を目指す人にも是非手に取ってほしいと思います。これら4つの国家資格は社会福祉の専門職として共通点があるからです。その共通点とは本書のコンセプトであるソーシャルワークの価値に他なりません。
本書の特徴は、コラムを多く取り入れ、現代的なトピックから社会福祉を考えている点です。新聞記事はもとより、新たな試みや問題解決のヒントを社会福祉領域以外の実践家や思想家の声を紹介しています。NPO法人ピープルデザイン研究所や内田樹氏の言葉から「社会福祉」は多くのことを学ばせてもらうことができます。「社会福祉」という名称はすでに時代遅れで、すべての人々が憧れる、手に入れたいと思う新たな概念を創出する必要がありそうです。
本書が多様な子どもや家族、障害のある人々や高齢者、貧困の状態やLGBTQなどの少数派を含めたすべての人々の尊厳を尊重する援助者の養成に役立つことを願っています。また、この本を手にする学生や教員や実践者等すべての人が「社会福祉」を学ぶことにより、少しでもラクに生きられることを望んでいます。
(本書「はじめに」より抜粋)
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