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雲岡石窟といえば、国家権力を背景として周到な計画に基づいて造営された10mを超える巨大石窟が印象的だが、もう一つ、皇帝以外の人々によって個別に発願されたとみられる膨大な数量の造像も存在する。これらの、皇帝勅願の大規模石窟、あるいはその窟内を統一的に構成する計画とは一線を画すように見える造像群=中小窟龕を丁寧に整理・分析することにより、雲岡石窟全体の造像およびその展開に関する問題解決を目指す意欲的研究の成果。
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筆者は雲岡石窟の中小窟龕を通して、北魏時代の人々が前代未聞の巨大事業にどのように参加し、どのような過程を経て石窟空間をより内容豊かなものへと発展させたのか、そして494年の洛陽遷都によって造像活動が完全に民衆らの手に委ねられた後、人々が発願した窟龕にはどのような共通点があり、どのような空間を造ることが理想とされていたのか、そしてそれを実際に彫刻したのはどのような人々であったのか、つまり全体として、石窟造営の実態や膨大な造像が制作された原動力を理解することに少しでも近づくことができるのではないかと考えた。(「序論」より)
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