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30代でうつ病になり、自分が生きている意味や価値を見出せずにいた著者。「自分を好きになるなんて無理」「自分にはなんの価値もない」。自分の心や身体を傷つけては「死にたい」という言葉を何度も繰り返す日々。そんな著者がパッチ・アダムスと出会い、大きく人生観が変わっていく記録です。
パッチ・アダムスとは1999年にハリウッド映画「パッチ・アダムス〓トゥルー ストーリー」で映画化もされた世界的に有名なアメリカの医師です。パッチ・アダムスが主催するボランティアツアーに参加したことでいつの間にか自分が癒され、生きていく力をもらえた経験を描いています。
パッチ・アダムスが主催しているボランティアツアーは通称「クラウンツアー」クラウン(ピエロ)の格好をして世界中の児童福祉施設や病院などを訪問しています。ボランティアといえば、困っている人を助ける行為をイメージしますが、病気の子どもを癒すことによって一番癒されていたのは、実は自分だったのです。
年間数千人もの自殺者やうつ病患者を生み出しているアメリカ軍。心を病んで生きる気力がなくなったアメリカ兵は、毎日を必死に生きようとしている病気の子供たちを笑わせることによって彼ら自身が救われました。
著者の金本麻理子さんは、気がつくとパッチ・アダムスと共に世界中をクラウンツアーで周るようになっていました。みずからのうつ病がいつの間にか治っていた経験と考え方の変化を、お伝えしています。クラウン活動は特別な特技がなくても、ただ人に寄り添うだけで意味があるものです。それは「そこにいるだけで自分には価値があるのだ」という事実の発見になります。
読み終わった後、必ず肩の力が抜けて、心が軽くなっている1冊です。
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