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2021年3月19日(東京藝術大学奏楽堂)東京藝術大学音楽学部作曲家教授 野平一郎 退任記念演奏会にて、静岡音楽館AOI・レジデンス・クヮルテット(VnⅠ:松原勝也/VnⅡ:小林美恵/Vla:川本嘉子/Vc:河野文昭)によって初演された作品。2楽章構成で、同じアイディアが別様に展開する双子の構造といえる。第1楽章では、2つの素材がある。4つの楽器がピチカートで奏する和音、打楽器的なハーモニクスが混在する。もう一つは、一定の音程の中をさまざまな微分音高で弾いていく。いずれも「触知できない」もの、耳で簡単に分析できない響きを求めている。第2楽章は一種のスケルツォで、2つの重要なエピソードを持ち、変ホ音をめぐる音型と、開放弦を響かせる音響が交代する。作品は音符のコンポジションと、音響ないし音色のコンポジションの狭間にある。それは一方から他方へと推移し、「ある原風景」を中心として風景が移り変わっていく。と作曲者は言う。
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