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ここにいて
わたしの祈りはただ
眼を閉じるだけ
祈りのための言葉は
ごくわずかでいい
(「みずうみ」)
戦禍の記憶から
音楽と美術への傾倒ののち、詩誌「あんかるわ」に参加、批評と詩作の両輪で書き続けた新井豊美。高見順賞受賞の『夜のくだもの』はじめ、最後の詩集『草花丘陵』まで、単行詩集全9冊を収録。全512頁、資料集24頁添付。解説=粟津則雄、装幀=井原靖章
【収録詩集】波動/河口まで/いすろまにあ/半島を吹く風の歌/滞空時間/夜のくだもの/切断と接続/シチリア幻想行/草花丘陵
この作者の仕事は、終始強い観念的な志向に貫かれているが、いささかも抽象的ではない。イメージの質に対する柔軟で執拗な凝視を特質としているが、イメージへの倚りかかりは潔癖に拒まれている。――粟津則雄
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