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本書は、「731部隊」研究の第一人者である著者が、その四〇余年にわたる調査・研究をまとめた集大成ともいえる1冊で、国内外の様々な史料の実証的な検証と、これまでの数十名におよぶ関係者への聞き取りをもとに731部隊・石井機関の全貌に迫ります。
「満州国」ハルビン郊外の平房に本部をおいた731部隊は、石井四郎が組織した機関、通称「石井機関」の一部で、石井機関は東京の陸軍軍医学校防疫研究室を中心に「軍」だけでなく「産・官・学」を取り込んだ1万数千人規模という巨大なものでした。
特に密接な関わりを持ったのは大学を中心とする医学界で、潤沢な研究費や戦役免除などのメリットがありました。
731部隊は1931年の満州事変を皮切りに勢力を拡大させていきますが、1942年の淅〓(せっかん)作戦で、大規模な細菌攻撃を実行するも失敗に終わりました。部隊は細菌兵器の実戦投入の困難性を認識しながらも止まることができず、そのまま敗戦を迎えます。
研究成果と引き換えに戦犯追及を逃れた731部隊と医学界の共犯関係は総括されないまま、戦後の医学界で影響力を持ち続けました。
近年の「安全保障技術研究推進制度」をめぐり、大学と軍事研究の関係が注目されるなか、戦争と科学の関係を改めて問いなおします。
序章731部隊:特別な存在
1章窮地の軍医学校:東郷部隊と石井式濾水機
2章石井機関:組織者石井四郎
3章1932年満州コレラ調査:石井機関の原点
4章平房の本部建物:上意下達の研究体制
5章「北向け南!」:大失態と新たな情報収集が必要に
6章切り札PX:人体の兵器化
7章敗戦:世界は冷戦へ
8章負の遺産:石井機関と日本の医学界
9章復活する「消えた細菌戦部隊」:輸血とBCG
終章科学・技術・社会:歴史・現在・未来
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