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<新刊モニター感想>
・著者の体験談のようでいて、体験に基づく創作ということです。終戦後の、今の銀座周辺が舞台です。どの話も、それぞれに楽しめます。抜群の記憶力で、なかなかの筆力です。「初めての美術館探検」は、芸術的な手法の文章です。「クラシックの音楽会探検」は、お姉さんの恋心が汲み取れる、都会風の一編です。「とらさん」は、ちょっとしんみりさせられて、変わった味わいのある作品です。最後の三編は、実らなかった、幼い恋心です。
(S.K.70代・男性)
・戦後の日本はどこもこの小説のように幸夫少年のような家族が多かったと思う。主人公より少し若いが、父や母の話からその様子を伺うことができた。
父や母は幸夫少年より良い生活だったと思われるが、当時の服装や昼食の時間の話を聞くと、靴が買えない家が多かったので、体育の時間は裸足だったとか、お弁当を持って来られないので、その時間になると決まって姿を消すとか、と言ったことだ。また、戦争による家族の状況に変化があったので、田舎の親族を頼って生まれ育った土地を離れ、移り住んで来た人が多かったとも聞いた。幸夫少年の話は、父や母の話の知らない部分を詳細に語り、また、補ってくれた。
物語のひとつひとつが、勇気づけられ、しかし、悲しくもあり、切なくもあり、現代とは違った人間模様に強く惹かれた。
(グレ子・女性)
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