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【第45回すばる文学賞受賞作】
選考委員絶賛!
小説の魅力は「かたり」にあると、あらためて感得させられる傑作だ。――奥泉光氏
この物語が世に出る瞬間に立ち会えたことに、心から感謝している。――金原ひとみ氏
ただ素晴らしいものを読ませてもらったとだけ言いたい傑作である。――川上未映子氏
(選評より)
認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。
父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。
そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。
暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟……絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。
【著者略歴】
永井みみ ながい・みみ
1965年神奈川生まれ。ケアマネージャーとして働きながら執筆した本作で第45回すばる文学賞を受賞。
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