金の輪

令和俳句叢書

金の輪

取り寄せ不可

出版社
ふらんす堂
著者名
秦夕美
価格
3,080円(本体2,800円+税)
発行年月
2022年1月
判型
四六判
ISBN
9784781414201

◆第十八句集

さみしいといへぬさみしさ花石榴



これは第十八句集。ふっと、「金の輪」という言葉が浮かんだ。と同時に〈金

の輪をくゞる柩や星涼し〉の一句が出来た。

表現者は実体験に根差したものしか書けない。それがいかにデフォルメされていようとも。現実はシビアだが、夢はいくらでも繰り広げられる。(著者)





◆自選十五句

夢の字は艸や夏嵐

曇天を流るゝ時間ちやんちやんこ

その声はたしかに異界黄水仙

不死鳥の頁に付箋大夕焼

しらみゆくこの世の丈の火吹竹

正夢に赤のきはだつ寒さかな

青銅のキリストおはす雪の闇

金の輪をくゞる柩や星涼し

黒猫のすゞしくあゆむ奈落かな

ありふれた雨です爆心地の四葩

八月や息するうちを人といふ

さみしいといへぬさみしさ花石榴

夜は雲のながれやまざり遠蛙

その時は目をつむりませう玉子酒

胎内や渦まき昏るゝ飛花落花

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