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海と陸と。東東北のあの時以後から問われる現在。
「この現実の光景は、メディアで繰り返し目にした被災地の印象とも違っていた。撮影のイメージが浮かんでは消えていく。いままで写真を撮ってきて、見たように写ったことは一度もない。そしてそのことを望んでいなかった。」〓〓笹岡啓子
2011年以後、東北地域を幾度も訪ね、撮影を続けた笹岡啓子の連作「Remembrance」。10年を経たいま提示するあの時からの4年間。出来事の「後の世界」に注視し、「後の想い」を呼び覚ますこと。静寂な光を湛えた写真が問いかける──〈私たちの生きる場所〉は、どこにあるのか。
「決して「一枚の写真」や、写真に写る「一人」や「一個の事物」に代表されたり要約されることのない、イメージの絶えざる拡張を生きる風景の全体、それこそが写真によって開示されるべきものと笹岡は心に決めている。」─── 倉石信乃(詩人・批評家)/本書解題より
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