ジル・ドゥルーズの思想は「革命」と本質的に結びついている。
ドゥルーズ自身の著書『差異と反復』『意味の論理学』から、フェリックス・ガタリとの共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』、そして晩年における革命的になること(革命的なものへの生成)の留保なき肯定とマルクスへの惜しみなき賛辞にいたるまで、ドゥルーズ/ドゥルーズ&ガタリの思想はその中心概念において、常に革命と緊密に結びついていた。
キューバ革命に呼応する中南米各地の革命的ゲリラの蜂起、アルジェリアやエジプト、ヴェトナムといった植民地独立闘争と一体となった第三世界の革命運動、そして1968年の5月革命など世界的な革命の熱狂のなか、芸術・思想上の革新と現実の社会革命が一体をなして希求されていた時代の息吹が、そこには深く刻まれている。それは革命の可能性を排除する「ポストモダン」や「ポスト構造主義」といった言説とは相入れない。革命を肯定できない者はドゥルージアンではない、と言っても過言ではない。
本書はドゥルーズの思想が誕生する土壌となった時代背景や思想的文脈の探求、現実の革命運動との個別的かつ歴史的な接点の調査といった、精緻なドゥルーズ研究の一端をなす4つの論文集である。
ドゥルーズと政治、ドゥルーズと革命をめぐる探究、その果てしない採掘作業は、今始まったばかりだ。本書はその「期待すべき変革の兆しを告げる、静かな胎動の音」である。
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