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多変量解析,最適化,システム制御などの分野では多変数が関わる問題がよく扱われる。そのため,これらの分野では行列が用いられることが多い。これらの分野にはじめて触れたとき,以下のような経験をされたことは無いだろうか?「逆行列や固有値が計算できれば十分だと思っていたため,行列が出てきても特に困難は感じなかった。しかし,内容が進むにつれ,正定行列や特異値,疑似逆行列,行列のノルムなどの聞き慣れないものが次から次へと現れることに戸惑った。これらのことを知ろうと大学初年度に使った線形代数の教科書を見てみたが,該当するものはほとんど扱われていない。仕方なく他の本を探し,ようやく見つけた本を読んでみると,それらの定義や定理,その証明などが書かれていることはわかるが,上記の道具が一体何のためのもので,どのように使われるのかよくわからない。わからないなりに読んでいけばわかっていくのかと思いきや,読んだ分だけわからないことが増えていき,途中で読み進められなくなってしまった。」何を隠そう,私もそうした経験をした者の一人だ。本書は,このような方々に少しでも学習の効率を高めてもらえることを目指して書いたものだ。
本書は,各概念の目的や必要性などを十分に説明することを重視して執筆した。目的や必要性がわかれば動機づけが高まり,そうした動機づけがあれば,多少,内容が難しくなっても独力で読み進められると考えたためである。本書では,動機づけとなるような課題や目的を,例を挙げながら具体的に説明し,そこを出発点として段階的に各概念の内容に進むようにしている。そうすることで新しい概念や枠組みのねらいを自然に理解できるようにしたつもりである。本書によって学習がよりスムーズに進むようになれば幸甚である。
なお,このような説明を可能にするために,本書では数学的概念の順序とは異なる順序で説明を与えている部分がある。さらに,同じことを2回説明している部分もある。これらのことが気になる方は他書で順序をご確認頂きたい。また,既知の内容の確認に時間を割かれないように,逆行列や固有値など,大学初年度に学習した主な内容は既知のものとして説明を与えている。もしこれらの内容について不安を感じるのであれば,まずそれらを復習されてからのほうがよいであろう。
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