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松はいつの時代にも、日本人には特別な存在でした。奈良時代より松明(たいまつ)として照明に使われ、平安貴族は、贈り物や文を、〈雅(みやび)〉なしきたりとして、松の折り枝を結んでいました。神が宿るといわれた聖なる木は、いかに私たちの美意識や文化に影響を与えてきたのでしょうか。『古事記』『万葉集』『日本書紀』などの文学、『源氏物語絵巻』や仏画、和歌での描写を渉猟し、そこに隠された、日本人の死生観や宗教観を探ります。
本書の底本は、人文書院より一九九三年に刊行されました。
目次)
第一章『魏志倭人伝』の植生と松
第二章 やまとたけると松
尾津崎の一つ松
磐代の浜松
童子女(うない)の松原
聖徳太子と飛仙
第三章 正倉院絵画の松
東大寺領の山境絵図
藤をまといつかせた松樹「樹下囲碁図」
第四章 のびやかな松と平安時代
宇治平等院鳳凰堂扉絵の松
雅のしきたり・松の折り枝
「源氏物語絵巻」の屏風の松
第五章 松明と明かり
第六章 人の死と松
第七章 日本人と松
あとがき
学術文庫版あとがき
主な参考文献
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