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地球環境を取り巻く現状は、気候変動枠組条約締結国会議(COP)等の議論に見られるように厳しさを増しつつあります。特に、エネルギー源の枯渇や地球汚染問題は、深刻化しています。エネルギーを巡る諸問題、化石燃料を主体とする環境汚染問題などは、極めて喫緊の課題として国際的にも議論されていますが、決定的な解決策が見出されていない過酷な情況と言えます。
なかでも再生かつ持続可能な新エネルギーであるバイオマスを一次エネルギーとする固体バイオエネルギーに関する研究開発は、遅れています。本書で述べている現状でのバイオコークス性能では、石炭コークス利用分野で30%程度の代替燃料として活用可能と考えていますが、完全には代替できません。消費燃料が変わり、燃焼特性が変わるわけですから、大きな技術転換を決断する必要があります。今まで石炭コークスで鉄を溶解し、ビルディングや橋や自動車、さらにはマンホール、錨、フライパンなどのあらゆる身近な生活に必要な製品を製造するのに必要な固体燃料だったので、溶解メカニズムそのものの変化を受け入れる必要があります。
本書では、種々のバイオマス原料(廃棄物を含む)からのバイオコークス化の基礎特性、基礎燃焼特性から長期エネルギー備蓄に関する展望を述べています。
さらに、バイオコークスによる世界的な脱化石かつ二酸化炭素削減のための普及活動として、シンガポール事業、タイ事業などがありますが、特に、バイオコークスを用いて難民キャンプや農村地域生活の質を強化し、新しいエネルギー産業を創出する取り組みが進んでいます。このパートナーシップは、ヨルダン大学、国際連合UNHCRの協力を得ながら進めていますが、政治や民族、文化などの違いから導入の難しさを感じざるを得ません。
これらのプロジェクトでは、世界的な大きな困難を克服し、不安定なエネルギー情況からの脱却を目指して、SDGsフラッグ1、4、7、8、9、13、16、17番に対応する目標を達成することを目的としています。
バイオ炭素備蓄型再生可能エネルギー社会を実現するには、エネルギーを安定的に確保し、経済成長と環境保全の3Eを進めるのは、至難の業であります。産官学が連携して、やがて訪れるエネルギー危機を乗り越えることを期待してやまみません。この書がこれらの次世代エネルギー開発の礎になることを祈念します。
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