外傷編
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"著者が実際体験した5,000以上の手外科症例から30例を厳選し,あたかもその症例を経験したような「体験」を積める。全動画には随所にテロップ付き。第2巻は来秋発刊予定!
序文より
手は狭く小さな器官であるものの,外傷,炎症,変性疾患,絞扼性神経障害,麻痺手,腫瘍,先天異常など,その疾患は多岐にわたります。切断指や先天異常などは一般形成外科医が担うことも多いですが,骨折や関節,靭帯損傷に不慣れである形成外科医は少なくありません。また,皮弁やマイクロサージャリーは一般整形外科医には馴染みがうすく,治療の機会も多くないかもしれません。
手外科は,整形外科と形成外科の知識や技術は不可欠ですが,その両者が必要だからこそ技術の習得が難しいものとなっています。手外科を普段から診療している整形外科医や形成外科医においても,系統立った手外科のトレーニングを受け,専門医取得に向けた研鑽を積むことは一部の施設を除いては容易ではありません。整形外科医にとっても形成外科医にとっても手外科は必要不可欠な分野であるものの,その診療経験を十分に積むことは困難であり,手外科専門医を目指す環境に恵まれていない人が多いのが現状です。若いころの私もその一人でした。テキストや講習会だけでは十分ではありませんでした。
臨床医は症例から学び,それを活かして経験とし,診療レベルを上げていきます。しかし,十分な症例経験を積めない環境にある整形外科医,形成外科医,若手医師はたくさんいます。忙しい日常診療ですが,その中でも実際に体験すべき重要な症例は限られています。それらを体験・経験するには膨大な時間と労力が必要なのです。
医師の世界では「経験がモノをいう」ということがよく言われますが,それをなんとか解消したい。苦労して獲得してきた私の小さな経験を直接の部下だけでなく,環境に恵まれていない先生方にも伝えて共有してもらいたい。「あたかもその症例を経験したような」感覚(体験)を積めるようなツールを提供したい・・・。そのような思いから本書を企画しました。
私のような回り道をすることなく,手外科を習得して専門医取得の一助となれば,これほどすばらしいことはありません。皆さんにはこの「体験」をもとに,明日の手外科診療を担う仲間になってほしいと考えています。
これから15人の患者さんが皆さんのもとに来ます。第2巻ではさらに15人の患者さんが待っています。東北ハンドサージャリーセンター(東北大学関連病院や仙台医療センター)で私が実際体験した5,000以上の症例から30症例を厳選しました。さあ,実際に診療するつもりで,この症例たちを「体験」してください!
2021年12月1日
鳥谷部 荘八"
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