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民際学を志すノンフィクション作家が綴るヤングケアラー体験
近年、テレビや新聞等でヤングケアラーという言葉に触れる機会が増えている。病気の近親者を介護する若者が、けっして少なくないという事実に、ようやく社会も気づき始めたようである。
これまでヤングケアラーの存在は、全くといってよいほど知られてこなかった。理由のひとつとして言えるのは、当事者たちがひっそりと息を潜めるように暮らしてきたということがある。病気の親や兄弟姉妹を、人知れず世話する若者が世の中にはたくさんいるのだが、様々な理由から他人に打ち明けられずにいる。特に、病気が精神疾患の場合、世間の偏見もありカミングアウトするのは、勇気がいる。子どもが家族の病気を知られたくないと思う気持ちには、多くの酌むべき事情がある。
じつは私自身、いまでいうヤングケアラーであった。
母と私たち家族が辿った道のりが、もしかすると現代のヤングケアラーたちにとって、わずかではあるが、現状を打開する糸口になるかもしれないと思い、筆をとることにした。
あきらめずに苦難に向き合っているうちに、いつかきっと灯りは見えてくる。そのことを、いま実際に苦闘している人たちに伝えたい。(本書、序章より抜粋)
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