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会社と労働者との間に労使トラブルが生じた場合、多くの人が、その解決を図るための法律として労働基準法を頭に思い浮かべるであろう。たとえば、「労働者を解雇する際は30日以上前に予告しなければならない」「入社後6か月を経過した労働者には有給休暇を与えなければならない」といったことは、いずれも労働基準法に規定されている事項である。他方、労働契約も売買契約や賃貸借契約、委託契約等と同様、「契約」である以上、本来は民法をその根拠とするものであり、戦前は民法でそのトラブル解決を図っていた。そうであるにもかかわらず,一般の民法の解説書において、労働問題を念頭に置いた記載や具体例が極めて少ない。そこで、本書においては民法と労働問題との関連性を解説し、労働法を活用するための民法の知識を深めていくこととする。特に「保護事由」と「帰責事由」の観点から、法律問題を解決するという基本的姿勢に関する説明を徹底強化した。
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