鶴屋南北篇
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南北の真骨頂を垣間見る一巻
本巻は勝俵蔵が舅の名跡である鶴屋南北を襲名した文化八(1811)年以降、還暦前後の新境地を切り開く未刊作品群を収録している。言うなれば、行動を共にした五代目岩井半四郎や、若き七代目市川團十郎との顔合わせを中心に、ドタバタ喜劇から涙を誘う愁嘆場まで、円熟の綯い交ぜの世界が繰り広げられ、悪の華に満ち溢れた劇作術が展開される、南北の真骨頂を垣間見る一巻である。
冒頭の『曽我祭侠競(そがまつりいきじくらべ)』は、貧しい浪人の娘が、道具屋の若旦那との縁談が「ろくろ首」の噂で破談となり、世を儚んで身投げする物語。息も付かせぬ場面が展開する。『封文(ふうじぶみ)めでたくかしく』は「八百屋お七」を軸に「お菊幸助」「かしく六三」と三組の「道化物」を絡めた綯い交ぜもので、死罪となった母娘の獄屋での愁嘆場が見物の涙を誘う。『清盛栄花台(きよもりえいがのうてな)』は、清盛を中心に、各幕の主人公をすべて團十郎に絡めさせる構想の作品で、時代絵巻と当世風俗の思い切った混交が見せ場となる。
他にも、現在確認しうる南北の最も古い台本で、本狂言の前の若手が多く登場する33歳の勝俵蔵時代の習作など、貴重な作品群が読者の関心を誘う。
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