桃花源の幻

桃花源の幻

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出版社
アストラハウス
著者名
格非 , 関根謙
価格
3,300円(本体3,000円+税)
発行年月
2021年11月
判型
四六判
ISBN
9784908184321

新発見! ため息のように美しい 中国文学・珠玉の名作

華語文学メディア大賞(年度傑出成果賞 2004)

鼎鈞双年文学賞(2005)

茅盾文学賞受賞(2015)

全米図書賞・翻訳文学部門 ファイナリスト選出(Peach Blossom Paradise)(2021)

「普済(プージー)にもうじき雨が降るぞ」そう言い残して失踪した父、心をざわめかせる謎の男の登場、そし琥珀の眼を持つ金の蝉……。

外の世界には自分の知らない無数の奥深い秘密があるが、みんな口を閉じて、自分には何ひとつ漏らそうとしない……。

十五歳の秀米(シュウミー)は世の中の全てにいらだっていた。



【あらすじ】

●第一章:時は清朝末期。主人公秀米(シュウミー)は江南の裕福な地主のひとり娘。初潮を迎えるシーンから物語は始まる。まさにその日、精神に異常をきたしていた父が失踪する。入れ替わるように謎の男性・張季元(ジャン・ジーユエン)を家に迎え入れる母。自分とは別のところで世界の秘密が動いていくと苛立ち焦れる秀米。やがて不思議な事件が次々と起き、張季元が死体で発見される。全てを操っているかに思える不気味な金の蝉。



●第二章:亡き張季元の日記を手に、希望のない婚礼の花駕籠に乗る秀米。途中、匪賊(ひぞく)に襲われ誘拐され、匪賊の隠れ家「花家舎(ホアジャーシャ)」で、先の見えない暮らしが始まる。この地は理想郷実現を目指した匪賊の総元締めの、壮大な実験の地であった。その夢敗れた、激しい闘争の日々。見え隠れする革命への希望と挫折。秀米は女性としての転機をこの地で受け入れ、やがて自身の魂に眠る熱情に気づいていく。



●第三章:この章は老虎(ラオフー)と呼ばれる思春期の青年の視点を通して描かれる。誘拐され死んだと思われていた秀米が、突然、日本の東京から、江南のこの村へ戻ってきた。彼女は横浜や仙台でも活動していたらしい。ミステリアスで寡黙な「校長」と呼ばれる謎の女性として描かれる秀米は、普済学堂に村人を集め、指導者として理想社会を画策し挫折を繰り返す。彼女が連れ帰った名前のない「ちびっ子」と呼ばれる男の子と老虎の交流。そして、最大の悲劇が起きる。



●第四章:理想社会の夢敗れ、犯罪者として捉えられた秀米。獄中で出産し、生まれたばかりの我が子は獄吏に奪われる。死刑前夜に辛亥革命が起こり死を免れたが、そのまま獄中で忘れ去られ、やがて放擲されるように釈放される。みすぼらしい姿で故郷の村に戻った彼女は、自分自身を罰するように、語ることを自らに禁じる。やがて人々を襲う大飢饉、餓死寸前の村で奇跡のように理想の共同体が出現する。そこで彼女にもたらされた幸福とは何か。死の直前、彼女は父の遺した不思議な素焼きの釜に映る未来を見つめた。

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