英語など第二言語のリーディングの習得をささえる認知プロセスについて、音韻符号化やワーキングメモリを中心に検討する。その上で小学校英語活動の文字学習や、英語の多読・多聴学習をどんな実践すれば効果的かについて解説する。
●まえがき
本書は、英語など第二言語のリーディングの習得をささえる認知プロセスについて検討しようとするものです。中でもとりわけ、読みの入口にあたる文字言語のディコーディング(音韻符号化)や、読みの情報処理を支えるワーキングメモリシステムについて重点的に取り上げます。その上で、新たに導入された小学校英語活動・教育における文字学習と、英語の潜在的・非明示的習得を促進する多読・多聴学習をどのように実践すると効果的かについて解説したいと思います。
著者のうち1人(門田)は、2001年に野呂忠司氏との共編著で、『英語リーディングの認知メカニズム』(くろしお出版)を上梓しました。英語リーディングの研究動向をまとめた、この前著の刊行から約20年が経過し、本書は当初、その改訂版の刊行という企画趣旨から、『新・英語リーディングの認知メカニズム』というタイトルを念頭に置いていました。しかし、英語リーディング研究の最新動向を、上記本と同様に1冊にまとめるとなると、今日では1000ページを超える大著となることが予想され、ほとんど現実的ではないと判断しました。
その代わり、認知メカニズムとしては、入門期の文字認識から熟達したリーディングに至る発達過程や、文字インプットの音韻符号化とそれに対する音読の効果、リーディングを支えるワーキングメモリとそのトレーニング効果などに絞って、重点的に取り上げることにしました。そしてその成果の応用として、小学校英語活動・教育における文字学習の効果的方法を探り、大量のインプット処理を実現する多読・多聴学習の効果を、学習開始時から中、高、大を経て、その一里塚とも言うべき100 万語に至るまでたどり、成功に導く鍵について、これまで蓄積された実践について報告しています。以上のようなポイントを絞った扱いにすることで、リーディングにもとづく、英語、日本語など第二言語の習得に、今後どのような展望が開けるか、そのコアとなる部分を明らかにしようとしています。
よく利用するジャンルを設定できます。
「+」ボタンからジャンル(検索条件)を絞って検索してください。
表示の並び替えができます。