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生誕85年! 世相を斬った“まくら”で知る立川談志の生き様と死に様
立川談志は、1974年に若手の落語家の研鑽の為に開催開始された「にっかん飛切落語会」へ2007年まで33年間の間、58回ものゲスト出演をいたしました。本書は、その残された貴重な録音から“まくら”部分を抜粋して、活字化したものです。日本社会、政治、落語の本質を鋭く見極めた落語家であった立川談志は、現代社会の中で揺れ動く日本人の常識や哲学を、明確な談志の基準で現実につなぎとめる話芸を、笑いとともに披露しています。
本書を紐解けば、今日の発展したネット社会、不寛容な世相、多様性の価値基準の問題点などは、すでに立川談志が語った“まくら”の中に答えが預言されていたかのような驚きがあります。
■立ち読み(1)
ジョークが人生、本当なんですよね、おれに言わせると。ジョークが本当で……、本当ってのは、捻じ曲げた世界だと思っているから。もっと言うと、落語が本当なんです。だから捻じ曲げられた常識という名の世界にいる奴らは、どうも面白くないから落語を聴くんです。夢で満足するんです。覚せい剤打ちたがるんですよ(笑)。随分、飛躍しているけどね。ヤクザが好きになる。そういうことです。手品が見たいのです。イリュージョンの世界に入りたいんですよ。
まともじゃ暮らせないから、歪めてこういう常識を作ったんでしょう? ねぇ? その常識に堪らないから、あのう、世間で言っている非常識という状況、これは元々そうなんですから。そこへ行きたがるんでしょう?
■立ち読み(2)
落語っていうのはね、あの、ありとあらゆる知識を集めてねぇ、「知識なんぞ要らねぇよ」って言ってる稼業です。これ面白い稼業でしょ? 知識を集めて、知識は要らない。なぜ集めるかって言うと、集めねぇと納得しねぇって事実があるからね。納得しなくて、ただこう、出て来てねぇ、知識も何にもなくて、何にもなくて、たいしてなくてね、「本当に知識なんぞ要らねぇよ」っていうのを観せられりゃぁ、これは最高だと思うけどね。なかなかそこへ行かないので、苦しがっているんですよ、おれも(笑)。
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