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1979年に都市の人間模様を写した『写真特急便 東京』No. 1~No. 12でデビューを果たした北島敬三が、ふたたびスタートさせた連続写真集の最終号。時代も1970年代とは大きくかわり、1991年のソ連崩壊と冷戦の終結以降、ネオリベラリズムの台頭と自由主義経済のグローバル化、コンピューターネットワークとサプライチェーンの拡充、ショック・ドクトリンとあらゆるジャンルで進められる市場開放、世界各地で頻発する内戦や終わりの見えない地域紛争、とりわけ日本においては、2011年に起きた東日本大震災と福島の原発事故をとおして、私たちは「目の前の現実が、突然何か別のものに姿を変えてしまうような経験」を幾度も積み重ねてきました。北島はとくに、三陸と福島の被災地の撮影をとおして、抜き差しならない目の前の現実と、何処からともなく侵入してくるイメージの圧倒的な現実性とを区別することが不可能なことを改めて実感したといいます。
私たちはすでに、かつてのように単眼的なパースペクティブで世界を把握、受容することがきわめて困難な時代の中にいるのかもしれません。この連続写真集『UNTITLED RECORDS』は、こうした時代の向来向後の記録資料になることを目的としています。
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