流浪篇
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パリ文壇にデビューし、初めて民間から起用された日本大使館の文化技術顧問として活躍したフランス留学時代。澁澤龍彦、横尾忠則など多くの若者たちが、その教えを乞いに、フランスの著者のもとに集まった。
マルローの東宮御進講を実現させ、筑波大学では「科学・技術と精神世界」という、研究者としてはタブーであった精神世界に踏み込んだ、国際学会を実現させる。
学問的には異端者と評されることもありがながら、自身の信念のもと、霊性の世界に真摯に対峙し続けた著者の、揺れ動く魂の軌跡をあますことなく書き上げる。
執行草舟、絶讃!壮大な魂の叙事詩。生涯を深奥世界のミステリー探索に賭した男の、勇気と、哀しみと、驚異に満ちた二十一世紀の黙示録。
執行草舟(『脱人間論』、『生くる』、『友よ』などの著者)
【第三巻あらすじ】
一九七四年春、四十一歳で、上昇・下降運を同時体験する。
マルローの熊野・伊勢路での啓示体験の目撃者として日本の神聖を世界に伝える使命を帯びたことと、パリから強引にある左翼「仮装集団」に送りこまれて逆に反日的〓聖活動に加担せしめられたことと、全く相反する方向に心を引き裂かれ、苦悶三年、絶望して離職する。
失意の身で地球半周の旅に出るが、ブエノスアイレスで、一夜、真っ黒な二体の亡霊に襲われ、帰国後、訪日した文豪ボルヘスからその謎ときを受ける。
フランス国営文化放送がコルドバで画期的国際会議「シアンス・エ・コンシアンス」(科学と意識)を開催したと知り、その続篇を日本でと仰望する。折しもオファーされた筑波大学教授職を受け、かくして七年間の流浪生活にピリオドを打ち、アカデミズム世界での冒険へと乗り出す。
【第三巻の主な登場人物】
萩原徹(ド・ゴール政権下駐仏大使)、萩原智恵子(大使夫人、『ある娘の敗戦記』)、桑原武夫(仏文学、京大教授)、衛藤瀋吉(国際政治学者)、永井道雄(朝日新聞論説委員、文部大臣)、今日出海(作家、初代文化庁長官)、田中清玄(元日本共産党中央委員長、政治活動家)、南条彰宏(国際的文化活動家、詩人)、床ヌブリ(アイヌ彫刻家、ユーカラ坐座長)、アルマン・バマット(アフガン出身ユネスコ文化局長、剣道達人)、イヴ・ジェギュ(フランス文化放送局長、仏放送改革者)、ミシェル・カズナーヴ(作家、邦訳『愛の原型』)、アルノルド・フォン・カイザーリング伯(ユング派分析家)、ヴィクトリア・オカンポ(アルゼンチン文壇重鎮女史)、ロジェ・カイヨワ(評論家)、ホルヘ=ルイス・ボルヘス(アルゼンチン作家、『伝奇集』)、山田五郎(薩英戦争東福寺城主嫡男)
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