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日本では近年、「観光列車」を導入している鉄道事業者が多くある。こうした動きは特に地方鉄道で見られており、旅客減少によって経営が厳しい地方鉄道の維持振興ならびに観光を通じた沿線地域の活性化を企図しているものと考えられる。しかし、観光列車が導入されることによって、どのようなメカニズムで地方鉄道の維持振興や地域経済の活性化に繋がるのかといった点は明らかになっていない。
本書は、観光列車の導入という鉄道事業における新たな胎動を経済学の視点から切り込み、データ分析や事例分析を織り交ぜて観光列車が有している特性や効果を明らかにすることで、鉄道事業者・沿線地域の双方に利益がもたらされるモデルを提示する。
経済学の視点から観光列車を分析することで、地方鉄道や地域が抱えている課題を解決することを試みた、極めて意欲的で且つ観光列車政策の在り方について示唆に富んだ著作である。
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