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種々の生命現象や生態系の動態を理解するためには、様々な生体分子、生物そして環境がどのように相互作用しているのか、つまりネットワークを明らかにすることが重要である。いまや、バイオインフォマティクスやシステムバイオロジーの分野おいて、生物ネットワーク解析はなくてはならない存在になったといえるだろう。しかしながらその一方で、生物ネットワーク解析は確かによく目にするものの、実際に何をしているのか、あるいは結果が何を意味しているのかよくわからない、という声も多く聞く。本書では、そのような生物ネットワーク解析の基礎から応用までをいくつかの具体的な事例を交えながら説明する。
本書は、学部生および大学院生、ならびにバイオインフォマティクスやシステムバイオロジーの分野に関わる技術者や研究者を読者として想定しており、学部生や初学者でも無理なく読めるように配慮している。1章では生物ネットワーク解析を学ぶ上での基礎知識を説明し、2章ではネットワーク解析で頻出する基本的な指標、3章ではネットワーク解析の理論の中心をなすいくつかの代表的なネットワークモデルについて説明する。そして,4章から7章にかけて、代表的な生物ネットワーク解析について紹介する。具体的に、4章ではネットワークから重要なノードを順位づけするために用いられる中心性解析、5章ではネットワークを制御するための重要なノードを見つけるために用いられるネットワーク可制御性解析、6章ではネットワークをクラスタリングするために用いられるコミュニティ検出,そして7章ではオミクスデータから生物ネットワークを推定するために用いられる相関ネットワーク解析について、それぞれ説明する。
これらの内容については実際の生物ネットワーク解析を体験することでより理解を深めることができるだろう。本書で紹介した手法や解析などの一部は統計解析ソフトウェアRとそのネットワーク解析用パッケージのigraphを用いることで体験することができる。コードはコロナ社HPの本書詳細ページより利用可能である。実際の生物ネットワーク解析や新規手法の開発に役立ててもらえれば幸いである。
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