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●第十句集
先生はいつもはるかや虚子忌来る
この三月五日、幸い白寿を迎えることができました。丁度「珊」に発表した句もほぼ三年に達しましたので、ここで最後の句集をまとめることを決心しました。
句集名は現在お世話になっているケアホームの名前「もみの木」)よりなづけました。
(著者)
●収録作品より
啓蟄や九十八の志
先生はいつもはるかや虚子忌来る
車椅子に乗せていただき桜狩
緋牡丹の蘂噴き上げて真盛り
生涯に虚子の一語や明易し
もみの木の緑蔭をこそ恃み住み
浮いて見ゆるうすき紅色夏料理
何につけ頼みの君も萩の露
百歳は近くて遠し星祭る
水澄んで人それぞれに故郷あり
時雨るるやケアのランチはオムライス
忌の近き青邨晴に我等今日
介護受けつつたつぷりと初湯かな
寒晴や仏に近く椿見て
菰の中一輪の熾寒牡丹
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