旧藩主の銅像、文明開化の象徴たる博物館や博覧会、市民広場に集う市民、迫りくる都市化の波……。近代の大名庭園には、じつに多様な行為が入り乱れている。そして大名庭園は、そうした「雑音」を取り除きつつ、近世の空間を期待してくる観光客のために、近世らしい空間を演出し、ときにはそれを創造してきた。
現代の大名庭園からは失われてしまった近代における変化の痕跡を、画像資料(絵図、地図、古写真、絵葉書)を中心に紹介。従来注目されなかった独自の視点から収集したビジュアルを盛り込みつつ、現在の庭園空間に近代が与えた影響を明らかにする。
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