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「野生のなかにこそ世界を保存する力がある」
ソローの野生論「ウォーキング」のもっとも知られた一節である。ソローの野生論は、野生という概念を中心として文化の活力と健全性、そして人間の全き成長について論じたものであった。従来、自然詩人、シンプルライフの実践家とみなされたソローを「野生」という鍵概念に注目して読み直し、さらに環境活動家ジョン・ミューア、現代詩人ゲーリー・スナイダーに与えた影響を考察する。
「わたくしが関心を抱くのは、思想(グラマー)としての「野生」の問題であり、その系譜学である。別の言い方をすれば、ソローは「野生」という概念のなかになにを見出し、どのような意味を読みこもうとしたのか。その思想の発端は何であったのか。またそれを生きた哲学としてどのように統合しようとしたのか。本書が追求するのは、そうした問いへの回答である」(本書「はしがき」より)
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